戦略研究部門
西林研究室
私たちの研究室では化学者が有する最も強力な武器である“ものづくり”の手法を用いて、新しい機能を持つ新規錯体や化合物を生み出し、それらが有する特徴ある機能・性質を利用した新規分子変換反応の開発を目指して以下の2つの研究課題に取り組んでいます。
1.ハーバー・ボッシュ法に代わる次世代型窒素固定法の開発:
エネルギー多消費型プロセスであるハーバー・ボッシュ法に代わる省エネルギー型窒素固定法の開発を行い、アンモニアをエネルギー源とするアンモニア社会の構築を目指して研究を行っている。最近では、常温常圧下での窒素ガスからの触媒的アンモニア合成法の開発に成功している。
2.新規触媒反応の開発:
遷移金属触媒や有機触媒を用いた新規分子変換反応の開発を目指して研究を行っている。最近では、ルテニウム錯体、銅錯体、光学活性アミンに代表される有機触媒を用いた不斉触媒反応や複数の触媒を同時に用いた時にのみ特異的に進行する協奏的触媒反応の開発に成功している。また、可視光酸化還元錯体を触媒に用いた光誘起電子移動を鍵とする触媒反応の開発にも成功している。

メンバー:
- 西林 仁昭・教授
有機金属化学、有機合成化学、触媒化学
ナノバイオデバイス研究室
微細加工技術とバイオテクノロジーの高度な融合により、来るべき高齢化社会における医療費削減と健康長寿の両立に貢献しうる画期的な医療診断装置や創薬支援システムを提案し、実用化に向けた研究開発を行っています。具体的には、がんの迅速診断を可能にする小型診断装置や高効率酵素分子スクリーニングシステムなどのプロジェクトを実施しています。

メンバー:
- 一木 隆範・教授
ナノテクノロジー、材料工学
関研究室
物質開拓を基点とした創発エレクトロニクス・スピントロニクス
本研究室では、トポロジーと対称性を切り口とした新物質開拓を通じて、革新的なエレクトロニクス・スピントロニクス機能を実現することを目指しています。
通常、電子の振る舞いは外部から与えられた電場や磁場によって制御されます。一方、トポロジカルな秩序構造を伴う物質中では、電子が曲がった空間を感じることにより「創発電磁場」と呼ばれる巨大な仮想電磁場が生じることが発見され、その積極的な活用は物質中の電子の制御手法を根底から変える可能性を秘めています。
本研究室では、こうした系のトポロジー・対称性に由来した未踏の量子現象が発現する新物質の設計・開拓を行うとともに、微細加工技術を駆使したマイクロデバイスの作成・計測を通じて、超低消費電力な情報処理・超高感度なセンシング等の応用につながる、新しい電子機能の実現に取り組んでいます。

メンバー:
- 関 真一郎・准教授
物理工学 - 高木 里奈・助教
物理工学
澤田研究室
社会空間の観測―予測―制御の総合工学
本研究室では、気象・水象といった自然現象と、交通・経済といった社会現象の双方を含む社会空間全体の今を観測し、未来を予測し、未来予測に基づいて社会インフラを自在に制御することで、災害等に対して頑健な社会を作ることを目指しています。災害をもたらすような自然現象とそれに応答する社会ダイナミクスの先進的なシミュレーションと観測、およびシミュレーションと観測データを結びつけるデータ同化等の技術を駆使して新しい社会空間のデザインの在り方の創出に取り組んでいます。

メンバー:
- 澤田 洋平・准教授
水文気象災害予測、シミュレーションと観測データの統合 - 小谷 仁務・助教
社会ネットワーク、防災・減災、国際協力
山田研究室
本研究室では,最適設計の新しい展開や方法論の拡張の他,従来の枠組を超えて,数理を基盤とした設計工学の新しい展開を行っている.具体的には,数学と情報科学の力を駆使し,力学を中心とする数理物理学に関する学理構築から,実際の機械製品の開発・設計までを結びつける研究を行っている.
メンバー:
- 山田 崇恭・准教授
機械工学 - 野口 悠暉・助教
機械工学
太田研究室
生体中では、無数の生体分子が織り成すダイナミックな相互作用によって生命現象が作り出されています。当研究室では、機能性ナノ粒子を用いてこの相互作用を高感度・網羅的に検出/可視化する技術基盤を開発し、生体をシステムとして捉えたデータ解析と融合することで、新たな医療診断プラットフォームを開拓していきます。これにより、発症してしまってからでは治療が困難な疾患の超早期診断や個別化医療、創薬の効率的支援を目指します。

メンバー:
- 太田 誠一・准教授
化学工学、医用ナノ粒子